朝が来ても体の疲れが取れず、だるい…
気持ちが晴れず憂うつで、やる気が出ない…
子どもが生まれてからの生活は、それまでの生活とは全く異なります。どんなに体力のある方でも、赤ちゃんのお世話で自分の時間や十分な休息が取れない日々が続くと、心身ともに辛くなってきます。
子育て初期はお母さんが最も悩みを抱えやすく疲れを感じやすい時期です。この時期は特にお母さんの心身を第一に考えた適切なケアが必要です。中でも、お母さんの心の健康状態は子育てにおいて最重要です。
では、お母さんの心が疲れてしまった時に、どうしたら良いのか?どんなことができるのか?
今回はお母さんがご自身でできる心の休め方をご紹介します。
今、心が疲れてしまっているお母さんが少しでも気持ちを緩めて、笑顔で赤ちゃんと向き合えますように。
体を休める
お母さんが「疲れた」「辛い」と感じたら、まずはしっかりと体を休めることが必要です。
疲れているのは心だよ、体じゃないよ??と思われるかもしれません。けれど、「健全な精神は健全な肉体に宿る」と言われるように、体の健康は心をまっすぐに支えるためにも大切です。
生後6か月くらいまでは、赤ちゃんは母乳かミルクのみの生活ですので夜中に授乳が必要になることもあるでしょう。この時期はお母さんは寝不足になるだけでなく、体の疲れが取れないせいで食欲不振になりがちです。食欲不振は栄養バランスの乱れに直結しますので、余計に体の疲れが取れにくくなり、だるさが続くことになります。
ですので、まずはお母さんの睡眠不足をできるだけ解消し、体の疲れをとることを優先してほしいと思います。そして、休む際には赤ちゃんからちょっと離れる事。これ、大事です。
とはいえ、昼間は赤ちゃんが起きている時間が長くなるため、長い時間は目が離せません。赤ちゃんのお世話以外にも、買い物や掃除など、日々の家事でやる事は尽きません。赤ちゃんが寝ている間に一緒に昼寝をしようと思っても、なかなかタイミングが合わないこともあります。
では、どうすると良いのか?
おすすめの対処法は、大きく分けて2つ。
赤ちゃんのお世話を一時的に代わってもらう
赤ちゃんが母乳ではなくミルクを飲んでいる場合には、夜中の授乳は旦那さんや親族などに代わってもらう方法があります。もし母乳育児をされているのでしたら、授乳以外のお世話をお願いしてみましょう。
特に旦那さん(父親)には、育児に積極的に関わってもらうためにも、お母さんの代わりにお世話をしてもらう時間を意図的に作っていくことをお勧めします。お風呂はお父さん担当、週末のおむつ替えはお父さん、などとされているご家庭も多いです。そうすることで、お母さんが赤ちゃんから離れる時間を作ることができ、心身の負担が軽減します。
ただ、旦那さんが仕事がある場合には「代わってもらいづらい」と悩まれるお母さんが多いのも事実す。
けれど、考えてみてください。育児はお母さんが1人でするものではありません。
お母さんが辛い時は旦那さんを一番に頼りにして良いと思いますし、むしろ頼らないことで後々の旦那さんの育児参加が薄くなっていくケースをたくさん見てきました。旦那さん側からすると「言ってくれないと分からない」という場合も多々あります。
夜中のお世話交代は、毎晩でなくても良いのです。2日おきにお願いしたり、週末だけは夜のお世話を全面的に代わってもらうという方法もあります。
働く旦那さんへの労いは忘れずに、お母さんが辛いことを伝え、「一緒にやってくれると嬉しい」というスタンスで育児の役割分担をしていきましょう。子育てにおいての良い部分も辛い部分も夫婦で一緒に乗り越えていくことで、家族の絆は深まります。
ご家庭の方針や旦那さんのお仕事の都合も考慮しながら、お母さんだけに負担が偏らない方法をご夫婦で検討してみてください。
子育てサポートを利用する
旦那さんの仕事で時間が取りづらかったり、頼れる親族が近くにいなかったり、お母さんお1人で育児をされている方もいらっしゃると思います。その場合には、行政や民間で提供している子育てサポートを利用することができます。
各自治体では、家庭の状況に応じて様々な子育てサポート事業を行っています。
・子育てサポート/ファミリーサポート
・産後シッター派遣
・母親学級
・保育園の一時保育利用
私が以前住んでいた横浜市には、産前産後ヘルパー事業という制度があります。
産前から利用できるのは上のお子さんがいる家庭に限られますが、買い物や掃除などの家事をお願いすることができました。また産後には、お母さんの代わりに赤ちゃんのお世話を頼むことができます(一部対応できない項目あり)。その他にも掃除や料理などもお願いすることができます。
横浜在住中、私はこの産前産後ヘルパー事業のヘルパーとしてたくさんのご家庭にお邪魔していました。1回のヘルパーは数時間のお手伝いですが、お母さんがゆっくり食事をとって休憩されたり、お子さんから離れて過ごせる時間をとることができ、大変喜ばれていました。
また、名古屋市ではリフレッシュ預かり保育事業という子育てサポート事業があります。
産後のお母さんが育児疲れを解消し、新たな気持ちで子育てに向き合うことができるようにするための制度です。
1回に最大6時間利用でき、月3回まで申し込みが可能です。事前申し込み制で、利用枠にも限りがありますので、希望通りの利用は難しいかもしれません。ただ、条件に該当する場合には保育無償化の対象となる為、かなり人気のサポート事業です。
私も名古屋で2人目が生まれた際には、こちらの事業でかなりお世話になりました。近くの大きな公立保育園で上の子(当時2歳)の一時預かりをお願いしていました。生まれたての2番目赤ちゃんを連れて送迎をしなければならない負担はありましたが、日中の育児負担はかなり軽減されていたと覚えています。
東京都でも様々な子育てサポート事業があります。中でも利用しやすいのがファミリーサポートです。
こちらは多くの市区町村でも実施している子育てサポート(地域によって呼称が異なります)で、同じ地域に住む「サポートしてほしい人」と「サポートしたい人」を結び付けてくれる事業です。サポートは有料ですが、毎回同じ人に来てもらえるため、親子共々安心です。
お住いの自治体でどんな子育てサポート制度があるのかは、ご自身で行政に問い合わせるなどして探してみてください。行政だけでなく、民間団体でも子育てサポートを行っています。きっとお母さんの助けになるサポートが見つかります。
心を開放する
体をしっかりと休めることができると、自然と心にもゆとりがでてきます。
けれど、サポートを受けることが難しかったり、寝ようとしても眠れないなど、どうしても体を休めることができない時もありますよね。そんな時は、まずは心に溜まった不安やストレスを解消していくことが必要になります。
心を休めるための方法の中から、赤ちゃんが傍にいながらでもできる、私のお勧めの方法は3つ。
外側に意識をむける
これは私も日々実践している方法です。
私はシングルマザーで家族がすでにいませんので、日々の家事や育児を別の誰かに頼ることができません。その為、心が疲弊してイライラする時期が2カ月に1回は必ずと言っていいほど巡ってきます。
そんな時、私がするのは、心を外に向ける事。
窓から外を見てみてください。あるいは、外に出てみてください。
何が見えますか?
私の家の窓からは青い空と大雪山の山影が眺められます。ベランダには、今の季節はあさがおとサルスベリの花が咲いています。
くっきりしたピンクや青の花々は本当に綺麗だなと感じますし、夕焼けに浮かび上がる山影は荘厳です。オレンジなのか、紫なのか、夕方の空は刻一刻と色を変えます。私はこの時、心の中にふわっと軽やかなゆとりが生まれるのを感じることができます。
振り返れば、部屋の中に今しがた取り込んだ洗濯物が山になっていたり、子どもたちがワーワーと遊びまわっているので、急激に現実に引き戻されるのですが(笑)、一瞬でも心が外を向くと「さあ、やるか」という気持ちを再び持つことができます。
毎日の忙しさや疲れが募ると、心が閉塞していきます。
やるべきことに押されて、周りのことが目に入らなくなりがちです。
しかし、目の前にあることばかりに意識がいっていると、周りにある「良いこと」に気づくことができません。日常のちょっとしたことがいつもとちょっとだけ違ったり、いつもと同じだけどいつもよりも上手にできたなど。「見逃さないぞ」という気持ちでいると、小さな「良いこと」は案外目の前に転がっていたりします。
例えば、
・買い物に行ったら、買おうと思っていた野菜がいつもよりも安かった/新鮮だった
・散歩に出かけたら可愛い猫や犬を見かけた
・窓を開けたら心地よい風が吹いてきた
・いつもより洗濯物が手早く干せた
など。
ささやかで良いのです。
意識していないと見逃してしまうような小さな変化や心地よさを感じられるようになると、心に栄養が蓄積されていきます。すると少しずつ、不安やストレスを軽減することができます。ですので、ほんの少しの間だけでも赤ちゃんから意識をはなして、外へ意識を向けてみてくださいね。
生活の中で「好き」を見つける
お母さんが好きなこと、心が明るくなることは何ですか?
美味しいコーヒーを飲む、ケーキを食べる、映画館で映画を観る、旅行に行く、体を動かす、本を読む、などなど。
自分が心惹かれることはなんだろう?と頭の中に思い浮かべてみてください。
その好きなことの中で、日々の生活に取り入れられるものはありますか?
好きなことをしている時は人は幸福感に満たされます。幸せホルモン「セロトニン」が分泌されているのです。セロトニンは心をリラックスさせる効果もありますので、育児疲れの心をふわっと緩めてくれます。
私の場合は、花を飾ったり、植物を育てることが好きです。花を見ていると心が安らぐのが分かります。
また、本を読むのも好きです。小説も読みますが、最近は、世界の国々のインテリアや街並みを紹介している本にはまっています。自宅にいながらでも海外旅行をしているような感覚になり、現実から離れられるところが気に入っています。
他にも、車を運転しながら好きな歌を流して大声で歌っているというお母さんや、洗濯が好きで、思いっきりシーツやカーテンを洗濯すると心がスッキリすると話してくださったお母さんもいます。皆さん様々な方法で自分の心を開放し、ストレスや疲れを溜めないようにしてらっしゃいます。
あなたの好きなこと、心惹かれることは何でしょうか?
できることから日常生活に取り入れ、ご自身の心を労わってあげて欲しいと思います。
誰かに話を聞いてもらう
人は、喜びも悲しみも他の誰かに話をすることで感情を共有する生き物です。あなたが今、心が疲れていると感じているのなら、その辛さについて誰かに話したいと思われるのではないでしょうか。
誰かに話を聞いてもらうメリットはたくさんあります。
・孤独からの解放
・新たな気づき
・カタルシス効果(心の中の悩みを外に出すことで、気持ちが楽になること)
自分の気持ちや状況を話すことで、気持ちの整理やストレスを発散することができます。話している間は人とのつながりを感じることができるでしょうし、新たな自分の気持ちに気づける場合もあるでしょう。
とはいえ、友人や家族といった身近な人に相談しようとしても、話す相手に気をつかってしまい、なかなか相談できないケースもあります。
特に私の周りで多いのは、旦那さんや家族に話したいけど相談できないと悩まれるお母さん。「話しても分かってもらえない」「ちゃんと聞いてくれない」など、身近な人に話すことが逆にお母さんのストレスになってしまうこともあるようです。
そのようなときは、話を聞いてもらえるサービスを利用することで、周りに気をつかうことや、余計なストレスを溜める必要がなくなります。
厚生労働省や各自治体では電話やメールでの相談窓口を無料で開放しています。YMCAなどの女性サポート団体でも、子育てを含む女性ならではの悩みついて電話での無料相談を受け付けています。
また、SNSやアプリを使って自分と同じ悩みをもつ方と繋がることもできます。インターネット上のサイトで悩みを相談する方法もあります。自分の悩みや気持ちを投稿することで他の人からの体験談やアドバイスを貰うことができます。
また、カウンセラーに相談する方法もあります。心の専門家であるカウンセラーに話を聞いてもらうことで、うまく言語化できないことでも親身に聞いてもらうことができますし、自分では気づけなかった奥底の感情に気づけたりします。専門的な知識と経験に基づき、問題点の洗い出しや解決策についてアドバイスをもらえることも、カウンセリングをうけるメリットと言えます。
オンライン相談がおすすめな理由
誰かに話を聞いてもらい時、育児疲れで何もする気になれず心が辛い時、オンライン相談もお勧めです。
オンライン相談であれば、出かける準備や場所、時間を気にすることなく相談できます。
・身近な人にも話せないことも話せる
・味方になって話を聞いてもらえる
・子どもが一緒にいても話せる
・リラックスしながら話せる
・ちょっとしたことでも話したい時に話せる
など、メリットはたくさんあります。
誰かに話をするだけで気持ちが軽くなったり、ポジティブな気持ちになれることもあります。「こんなこと話して大丈夫かな?」と話すこと事態に悩むのではなく、まずは話してみてください。これといった大きな悩みがなくても大丈夫です。どんなことでも吐き出すことで、お母さんの心が軽くなります。
まとめ
ここでは、育児疲れや産後うつなどで心が辛いと感じたお母さんができる対処法についてご紹介しました。
ご自身でできるリラックス方法や周りの誰かに頼るなど、今のあなたに合うやり方で無理をせず、現状を打開できる方法を探ってみてくださいね。
お母さんが少しでも気持ちを緩めて、笑顔で赤ちゃんと向き合えますように。