子どもの歯みがきでの大泣きイヤイヤ、お困りのお母さんは多いことでしょう。
先日も歯みがきについてのご相談を受けました。「子どもが歯みがきの度に大泣きして、押さえつけながら無理やりに歯みがきすることでイライラするし、虐待を疑われないか心配」というお悩みでした。
同様のお悩みは、保育園や療育センターでも多々聞かれます。
ご飯を食べた後は虫歯の心配があるから歯みがきは必ずしてほしいですし、生活習慣として早くから身に着けて欲しいですよね。しかし、そんな親の想いとは裏腹に、子どもが歯みがきの度に大泣きして暴れられたら、ぐったりと疲れてしまいますし、親だってストレスも溜まります。
なんで~!?とイライラしてしまう、その子どもの歯みがきイヤイヤには、必ず原因があります。
そして、対処法も必ずあります。
ここでは、歯みがきイヤイヤの3大原因とその対処法について順次ご紹介します。
歯みがきイヤイヤを克服して、歯みがき習慣を身に着けると同時に、お母さんのストレスを減らしていきましょう。
子どもの歯みがきイヤイヤ3大原因
まずは子どもがなぜ歯みがきを嫌がるのかを探っていきましょう。
その理由が分かれば、適切な対処法をとることができますので、歯みがき習慣への大きく一歩前進します。
【原因①不安】
歯みがきイヤイヤの1番多い理由は、不安です。
歯ブラシを口に入れたときに、何が口に入っているのか、何をされているのか、子どもは見ることができません。ですので、口の中で動き回ってあちこち触られることに不安を感じてしまう子どもがたくさんいます。
また、歯みがき中は保護者が子どもを仰向けに抱きかかえ、動かないように押さえているケースが多いと思います。子どもは押さえつけられることにも不安や抵抗を感じます。
良く分からないものが口に入っている上に、押さえつけられている。
怖い…不安…
初めて歯みがきをする子どもならば尚更に、口に入っているのものの正体も意味も分からず押さえつけられていると、不安で不安でたまらなくなり、泣きじゃくるのです。
【原因②歯みがきが痛い/感触が嫌い】
2番目に多い理由は、歯みがきが痛かったり、感触が気持ち悪い、というもの。
歯みがきを素早く終わらせようという気持ちから、保護者の手につい力が入り、必要以上に強く磨いてしまうケースがあります。子どもの乳歯や歯茎は大人に比べてやわらかく、小さな力でも痛みを感じてしまったり、歯肉を傷つけてしまうことがあります。特に「上唇小帯(じょうしんしょうたい)」と呼ばれる、上唇と上前歯の間にある筋は歯ブラシで触ると痛みを感じます。子どもの歯みがきの際に歯茎や上唇小帯に触れないように注意する必要があります。
また、歯ブラシの毛先の感触を嫌がる子どもも多いです。くすぐったかったり、ちくちくして痛かったり。歯ブラシのヘッド部分のサイズが合っていないことも痛みの要因になります。歯を磨いている際に頬っぺたの裏などに当たってしまい、痛みを感じてしまう場合もあります。
【原因③口を長く開けているのが苦痛】
歯みがき嫌いの原因として考えられる3つ目は、口を長く開けている事で苦しくなったり、気持ち悪くなってしまうというもの。
歯みがきをしていると唾がたまってきます。長く口を開けたままにしているとその唾を飲み込むことができず口の中にたまり、苦しくなってしまうことがあります。同時に、たまった唾の感触で気持ち悪くなる子どももいます。
また、口を開けるためには口周りの筋肉を使います。歯みがき時間が長いと口を開けている時間も長くなります。長く口を開けていることでその筋肉が疲れてきて、開け続けることが難しくなってきます。
歯みがきイヤイヤの対処法
歯みがきを嫌がる理由は様々で、お子さんの発達年齢や状況にもよるかと思います。しかし、理由が分かれば対処のしようはあります。
ここでは、上記のような歯みがきイヤイヤの原因からそれぞれの対処法をご紹介します。
対処①歯みがきについて楽しく知ろう
1番の原因として、「子どもが歯みがきとは何か分からずに不安になる」とお伝えしました。
これについては対処法は、親子で楽しく歯みがきについて知ることをお勧めします。
小さな子どもは視覚的に学ぶことが有効です。ですので、言葉で説明するだけでなく、歯みがきについて見せることが大切です。
・絵本を一緒に読む
・ペープサートやぬいぐるみなどを使って歯みがき場面を説明する
・歌を一緒に歌う(画像付きの歌番組などが有効)
・動画/アニメを見る
・親が楽しそうに歯みがきをしているところを見せる
歯みがきについての絵本や歌、教材などはたくさんあります。親しみやすいキャラクターや動物などが出てくるものを選ぶことで、小さな子どもは興味を持ちやすく、自分もやってみようという気持ちになりやすくなります。
また、親子で一緒に見ながら、お母さんが「こうすると良いんだね」「今日の夜にやってみようね」など声をかけていくことも大切です。
歯みがき前に親子で歌を歌うだけでも効果があります。
「歯みがきってこうするなんだ」「歯ブラシは口の中をきれいにしてくれるんだ」「歯みがきしないとばい菌が来るんだ」など、子どもの歯みがきに対する不安を解消し、プラスのイメージを与えることができます。
やり方は1つではありませんし、むしろ複数の方法を試していただくと良いと思います。実際に、それぞれの子どもが興味をもつやり方を色々と試しているというお母さんが多いです。どんな方法でもポイントは親子で一緒に楽しむこと。子どもに合うやり方を探りながら、親子で一緒に歯磨きを楽しむ事を意識してみてくださいね。
対処②歯ブラシを見直してみる
歯ブラシには様々な種類があります。子ども用歯ブラシでも大きさや毛先の硬さ、長さなども多種多様です。ドラッグストアなどの口腔ケア売り場でズラッと陳列されている歯ブラシを前に、どれが良いのか悩んだことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか?
子ども用歯ブラシはたいていの場合、推奨年齢が記載されています。子どもは年齢と共に口の大きさが変わりますので、歯ブラシも年齢と共にサイズを見なしていく必要があります。年齢に合わせたサイズの歯ブラシを選んでいただくのがベストです。
歯が生え始めたばかりの0歳児さんの場合は歯ブラシの毛のないもの(ヘッドが柔らかく丸くなっているもの)が推奨されています。2歳くらいで乳歯が次々に生えてくると、きちんとした歯ブラシの形状になりますが、ヘッドはかなり小さ目で毛先は柔らかく、短めです。
注意していただきたいのは、お子さんの年齢だけでなく口のサイズです。口の成長具合や歯の生えるスピードは個人差がありますので、実年齢よりも小さ目が合う場合やその逆もあり得ます。また、歯ブラシの毛の硬さが選べる場合には「やわらかめ」を選んでくださいね。
歯みがきを始めたばかりの乳幼児さんには、歯ブラシが喉の奥に入ってしまう事を防ぐ安全グッズをのご利用もお勧めです。乳児さんの歯ブラシコーナーには、歯ブラシに装着できる丸いプレートが販売されています。これなら取り外し可能で単体で洗う事もできますので、衛生面でも安心ですし、歯ブラシを取り換えても使い続けることができますよね。
また、持ち手が大きな輪っか状になっている歯ブラシもあります。小さな子どもでも握りやすく、喉の奥まで歯ブラシが入り込むことを防いでくれます。
歯ブラシとお子さんの口の成長具合をよく観察し、どの歯ブラシが使いやすいのか、いくつかのメーカーで試してみていただくのが良いかと思います。
対処③無理強いをしない
子どもが歯みがきを嫌がったり、歯みがきの最中にむずがって暴れるような時、無理に押さえつけてしまうと、逆に大泣きと大暴れを助長してしまいます。
嫌がり方が強いようでしたら一旦歯みがきを辞め、落ち着くまで待ちましょう。その後、子どもに「歯みがきしても良いかな?」と声をかけてから、歯みがきをするようにしてみてください。
また、歯みがきをする前や落ち着くのを待っている間、歯みがきについての動画を見せたり、歌を歌うことで抵抗感を和らげることができるかと思います。
歯みがき時間について、子どもと一緒にルールを決めていくこともお勧めです。
例えば、
・ご飯を食べた後はすぐに歯みがきをする
・歯みがきはリビングでする(場所を決める)
・歯ブラシをあてる時間は1~2分くらいにする(タイマーをセットすることで子どもにも終わる時間が分かりやすくなります)
歯みがきについて毎日同じようにすることでルーティン化することができ、嫌がることが少なってきます。また、お気に入りのぬいぐるみやおもちゃを手に持つことで「〇〇と一緒に歯みがきする」ことを楽しみにとし、イヤイヤが軽減する場合もあります。
もし子どもが歯みがきを嫌がって逃げ回るようでしたら、お母さんが一緒に歯みがきをしてみせてあげることも1つの方法です。もしその時にご両親がそろっていらっしゃるようでしたら、片方の親が子どもの歯みがきをし、その横でもう片方の親が歯みがきをして見せてあげてください。たとえ始めは嫌がっていてもお母さん(お父さん)が楽し気に歯みがきをしていたら、「歯みがきって思ったほど嫌じゃないのかも」と感じることができるようになります。
大切なのは、無理強いをすることではなく、子どもが自分で「歯みがきをしよう」と思えるような環境と保護者の働きかけです。ぜひ一緒に楽しむ心を忘れないでくださいね。
いかがでしたか?
子どもが歯みがきを嫌がる3大原因とその対処法についてご紹介しました。
歯みがきイヤイヤにともなうお母さんのイライラやストレスを軽減するためにも、ご自身のお子さんに合う方法を探って、歯みがきを楽しくできるようにしたいですね。
また、歯みがきは毎日の健康にとっても欠かせないものですし、一生続けていく大切な生活習慣でもあります。早い時期からしっかりと身に着け、親子共々健康で、ストレスのない毎日を過ごせるようになることを願っています。
もし「うちの子どものイヤイヤは対処のしようがない!」「やってみたけどイヤイヤが収まらない!」と思われた方は、ぜひ直接ご相談ください。
あなたのお子さんの状況を詳しくお聞きした上で、プロの子育てコーチが一緒に対処法を考えていきます。