10人に1人がかかる”病”・・・ほとんどのママが気づかない産後の体と心の辛さの正体

笑顔のママへ

生まれる前は赤ちゃんに会える日が楽しみで、ずっとワクワクしていたのに、
目の前にいる赤ちゃんが可愛いと思えない…
体の回復に時間がかかって、気分まで落ち込んでくる…

出産後に体や心が辛くなったこと、ありませんか?

ママが気づいていない産後の辛さの正体

私は3人目を産んだ後、体調の回復に時間がかかり、なかなか出産前のように動くことができませんでした。

身体が動かないと同時に、
・やろうとしていることもできない自分に嫌気がさす
・時間がかかってしまうことに焦りや苛立ちを感じる
・赤ちゃんに泣かれるとイラっとする

動けないことと自分の不甲斐なさに落胆し、気持ちもどんどん落ち込んでいったのです。

そんな自分が嫌でした。
身体が辛いけど家事や育児はやらないといけない…でも動けない辛さも誰にも話すことができなくて、1人ぼっちで寂しくていつも孤独や不安を抱えていたことを覚えています。

同時の私は、毎日のように子どもにイライラして怒鳴ったり、物を乱暴に扱って大きな音を立ててしまったり、いつも気持ちが不安定で周りに当たり散らしていました。

けれど、そうやって八つ当たりしてしまった後には、後悔と自己嫌悪。

「自分は母親失格、良い親になれない」
「自分は何にもできてない」
「自分はいない方が子どもたちにとって幸せなんだ」

そんなことを毎日考えていました。
本気で死んでしまおうと思い立って、ベランダに出て、柵に上りかけたこともありました。

この精神不安が、産後すぐから1年くらい続きました。
この当時の私は、恐らく”産後うつ”だったと思います。

けれどあの時は、自分が”産後うつ、心の病”とは微塵も思っていませんでした。

私が思っていたのは、「自分はおかしいんだ」ということのみ。

今では、あの時の自分は頭がおかしかったのではなく、産後うつという”病”だったのではと思っています。

でも、その状況の中にすっぽりとはまっていると

気づけないんです、自分では

子育てに必死のママは、目の前にあることで精いっぱい。
自分のことよりも、赤ちゃんのことで頭がいっぱい。

その赤ちゃんのことがちゃんとしてあげられないと、自分はダメだ、頭がおかしいんだ、と思ってしまう…

下記のグラフを2つご覧ください。
株式会社ベルタが運営する女性ライフステージブランドBELTAが、2022年1月に妊婦さん213人を対象に行ったアンケートの結果です。

妊娠中にイライラや不安を感じたことがある妊婦さんは、
*あった(35.2%)
*とてもあった(26.8%)
*少しあった(27.7%)
合わせると、全体の約9割にも上りました。

この結果から、妊娠中は心や体が不安定になるのは当たり前で、そのような症状がない方のほうが珍しいということがわかります。

参考:株式会社BELTA アンケート

また、出産直後2週間以内に約2、3人に1人がマタニティブルーになっており、産後3ヶ月以内に10人に1人が産後うつになっているという事実について知っているかを尋ねたところ、「知らなかった」と回答した方が6割強を占めています。

上記2つのグラフを見て分かるのは、
*9割のママが産後に不安を感じている
*6割以上のママが産後3ヶ月以内に10%のママが産後うつにかかっている事実を知らない

ここで浮かんでくる推測は、
 ↓↓

産後うつだと気づかずに1人で辛さに耐え、我慢しているママがたくさんいるのではないか??
ということ。

実際に、私も気づいていませんでしたし、私のもとに相談に来てくださるママの中には、長い期間精神面の辛さを感じていても産後うつとは思い至っていない方が少なからずいらっしゃいます。

多くのママが、自分が産後うつか?の疑問も持たず、ひたすらに「自分はダメなんだ」「自分はいない方が良いんだ」と自己否定を繰り返していました。私の場合には周りに話すこともなかったので、産後うつを疑ってくれる人に出会えなかったことも背景としてあります。

同様の状況のママが、たくさんいるのではないかと考えています。

でもママには、辛い思いを長く引きずってほしくないと思っています。
私のように1人で1年も時間を辛さの中で過ごさないでください。

ママには、みんな、みーんな、赤ちゃんとの時間を心から楽しみ、赤ちゃんもご自分も愛せるママになってもらいたいと願っています。

ですので、今辛さを感じているママにはぜひご自身のことを振り返り、知ってほしいと思います。ご自身の体と心の健康状態がどうなっているのかを知ることで、できる対処があるのです。

まずは恐れずに、ご自身の状態をしっかりと知りましょう。

マタニティブルーと産後うつ

どちらの言葉も聞いたことがある方が多いのではないでしょうか。
出産直後2週間以内に約2、3人に1人が感じるマタニティブルーと、産後3ヶ月以内に10人に1人が患う産後うつ。

何が違うのでしょうか?

マタニティブルー

マタニティブルーとは、妊娠中や出産後に起こる不安症のことです。
気持ちが不安定になることから、身体にも不調が起こるママもいらっしゃいます。

マタニティブルーの主な症状:
【メンタル面】
 *気持ちが落ち込む
 *不安感に襲われる
 *急に泣きたくなる
 *イライラする
 *感情をコントロールできない
 *出産や育児に対して強い恐怖や不安を感じる
 *何もなくても自己嫌悪してしまう

【身体面】
 *不眠
 *過食
 *拒食
 *倦怠感
 *動悸
 *息切れ
 *頭痛

参考:公益社団法人産婦人科医会 

メンタル面で起こる不調のイメージが強いマタニティブルーですが、不眠・倦怠感・頭痛など身体的な負担を感じるママも多いようです。

マタニティブルーの原因はいまだ解明されていませんが、妊娠・出産に伴い女性ホルモンのバランスが大きく変動することが起因しているのではないかと考えられています。
また、ママの体の変化、子育てや将来への不安やプレッシャーなどの影響も考えられています。

1つの原因で起こるわけではなく、さまざまな要因が複雑に絡み合わさって起こる生理現象と言えます。

ですので、マタニティブルーになることはママのせいではなく、恥ずかしさや恐れを感じる必要はまったくないのです。

産後うつ

産後うつ病とは、出産後数カ月以内に発症するうつ病です。

前述した通り、産後ママのおよそ10%の罹患率があります。

産後うつの主な症状:
【メンタル面】
 *気分の落ち込み
 *興味または楽しみ(喜び)の喪失
 *自責感
 *自己評価の低下
 *抑うつ気分
 *集中力の低下
 *気力の減退
 *決断が困難
 *赤ちゃんがかわいいと思えない
 *消えてしまいたいと感じる(自殺念慮)

【身体面】
 *不眠(寝ようと思っても眠れない)
 *食欲がなくなり体重の減少がみられる

参考:公益社団法人産婦人科医会

マタニティブルーズが通常は1~2週間でおさまるのに対し、産後うつの症状は2週間以上持続します

また、産後うつは自然治癒するケースは少なく、放置していると症状が悪化していきます。ひどくなると自傷行為にまで発展する恐れもありますので、早期発見・早期治療が重要とされています。

さらに、マタニティブルーがあった女性は産後うつ病発症のリスクが高まると言われています。

発症の背景要因として、うつ病の既往の他、旦那さんやご家族からのサポート不足など育児環境による影響も大きいとされています。妊娠中から不安やうつの問題がおこっている場合もあるため、妊娠中からケアを行う必要があります。

近年では、産後うつ病の早期発見と支援のため、産後の健診で産後うつに関するスクリーニングが行われています。しかし、それだけでは産後うつの診断はできないので、罹患が疑われる際には精神科医の診断が必要となります。

産後の辛さに気づいたら

今、辛さを感じているママ、辛さをないがしろにしないでください

「辛い」と感じたら、まずは自分はマタニティブルーなのか、産後うつなのかと疑ってみてほしいと思います。

ママは赤ちゃんのことを優先し、自分のことを後回しで考えてしまいがちです。しかし、自身の体や心について考え、何が原因で辛いのかを探って欲しいと思います。なぜなら、その辛さが一過性のものではなく、産後うつだった場合には適切な治療とケアが必須だからです。

産後うつは自然治癒しません

放っておかないでください

必ず、旦那さんやご家族、または相談できる専門家など、誰かに話をしてくださいね。

産後うつは1人っきりでは乗り切れません。身近に理解者を増やし、サポートしてくれる環境を整えていきましょうね。

また、旦那さんやご家族の方々へお願いです!

ママへの気配りや声掛けをお願いします

辛くても言い出せないママがたくさんいます。私のように自分では産後うつだと気づけないママも多いだろうと思っています。産後の体の回復とホルモンバランスが安定するまでの間は、ママは辛いだろうと想像して頂き、普段以上の配慮をしてくださると、ママにとっても赤ちゃんにとっても子育てをスタートしやすくなります。

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*産後うつや育児ノイローゼになってしまったときの対策について、
 辛さを経験したママたちの体験談を交えながら、他記事でご紹介しています。
「産後うつ、育児ノイローゼ…同じ状況を経験したママたちがとった対策とは?」

ぜひ参考にされてくださいね。
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子どもを産み育てるママには、赤ちゃんを愛し、自分も愛し、毎日笑顔で過ごしてほしいと願っています。

ママは1人ではありません。

辛さと寂しさを感じていたら、いつでもご連絡ください。
私にママの話を聞かせてくださいね。